この夏、龍谷大学理工学部の澤田君がシリコンバレーにある弊社へインターンシップにやって来た。
エンジニアとしてのロボットへの興味が主ではあるが、専門分野以外の事も勉強してもらおうと、弊社のライブラリーから好きな本を選んでもらい、感想文を書いてもらった。もちろん、読書がインターン研修のメインの課題ではないので、ホームステイ先での自由時間に読んでもらったのは言うまでもない。
以下に澤田君による感想文を紹介します。読書、研修、そして人とのふれあいでシリコンバレー精神をより深く学べたかと受け皿としては喜んでいます。(大永)
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梅田望夫氏による著書, シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土[1]を読んだ感想を以下にまとめる.
1.Linuxの歴史について
Linuxがオープンソースとして無料で公開され, ボランティアとして世界中のエンジニアに無償で開発してもらったものだということに驚かされた。この開発方法はエンジニア(本の中ではナード)の好奇心, 純粋にプログラミングが好きというところを利用した点で優れていたと思う。しかし, 不思議なことに他社が同様のことをしても上手くいかなかったそうだ。この理由として私は次のように考察する。
本に書かれているようにLinuxの生みの親もボランティア開発者と同様にただ純粋にプログラミングを愛するナードの部類に当たる人物であった。そういった人物が純粋に楽しみを他のナードたちと共有したいという気持ちで始めたからこそLinuxの場合はうまくいったのではないだろうか。他社の場合, 開発のために利用しようとする姿勢が表立ってしまい, 世界中のナードの心を揺さぶることができなかったのだと思う。
このことから, 自分が自分の熱意の全てを注ぎこみたくなるほど何かに夢中にならなければ, 他の人の心を動かすことができないのではないだろうかと思った。さらに, そうでなければ, また, 楽しみを他の開発者と共有できなければ, いいものを生み出すことはできないのではないかと思った. そう思うと, エンジニアとして働く場合, 自分がのめりこめるものを探さなければならないことになる。今のところ, そういったものがないわけではない。 ただ, 好奇心旺盛な性分から興味のある分野が多いためどれに自分の熱意とエネルギーをそそぎこもうか迷っている。
なので, とにかく今はどれだけのことができるか分からないが, 経験できることをできるだけ多く経験して自分がまずどれを一番したいのか探してみようと思った。その上で何かに熱中してその楽しみを他の人と共有しながらエンジニアとして働きたい。
2.ビル・ゲイツについて
マイクロソフトの元CEOビル・ゲイツもまた興味深い人物だった。本の中での彼は今のシリコンバレー流のビジネスのように徹底的な労働者削減などをし, またライバル会社はどんな手を使ってでも叩き潰すといった人物であった。 これについて私は彼が野心家で, そのときそのときの野望, 長い先の野望をしっかりと持っていたからこそ, そういった行動に踏み切ることができたのだと思った。 また, このことからそういった野望をもっている方が, 優先順位がはっきりつき, 明確なプランを立てて効率よく会社を運営することができるのではないかと思った。
ここで自分にとっての野望を考えてみた。稚拙でもいい, 非現実的であってもいい, とにかく人生の幹としての野望を考えてみた。そうするとやはり, 昔から興味が尽きない有人人型ロボットを作ることが頭の中に浮かんだ。そして, それをもとに自分の将来を考えてみたところ, それに関わる分野で仕事をし, その道中で様々な経験・知識を吸収しながら野望のためのお金と他のエンジニアとのネットワーク形成を獲得するのもいいと思った。 野望を持つことがどういう風に転ぶかは分からないし, 野望によっては効率的なものとそうでないものがあるのかもしれないが, 一度そういった風に野望を軸にエンジニアライフの計画を立てて, それにしたがって行動してみようと思った。
3.人物のネットワーク形成について
本の中にこの本の著者の様々な分野の知り合いが登場してきた。そして, 色々な人に相談したり, 話を聞いたりして, 彼自身の人生観が変わっていく様子はとても新鮮だった。また, シリコンバレーという新しい環境に赴いて人生観が変わっていく様子も同様に新鮮だった. 無論, 様々な人とのネットワーク形成, 違う環境に囲まれることが将来の自分の人生に大きな影響を与えることは分かっているつもりだった。そして今まで受けてきた講演会でも多くの人がそれをよく口にしていたため, 今更新鮮な気分になった自分を少し不思議に思った. おそらく, 今まで聞いたり, 読んだりすることはあっても自分の話ではないのでただの他人事として処理してしまい, はっきりとしたイメージが浮かばなかったのかもしれない. しかし, 今回実際にシリコンバレーという新しい環境に囲まれて, 興味が持てるほどの人物と関わって, 初めてそういったことに共感することができた。 だからこそそれがどういうことなのか理解できたのかもしれない。
また, 本の中では, 著者自ら興味のある人物の話を聞くために赴く姿もあった。まだこういったことに馴染みがないため, あまりしてこなかったが自分の人生観を変えるほどの何かがあるのかもしれないと今は素直に思えるので, こういったことも積極的にやっていこうと思った。
4.若者を支える環境について
若者の熱意、エネルギーを受け止めることのできるシリコンバレーの環境に驚いた。 ベンチャーキャピタルから「事業に失敗しても返さなくていいお金」として資金が支給されるためほぼリスクゼロで起業・運営することが可能になっているそうだ。さらに, シリコンバレーでは多くの若者が積極的に起業に挑戦し, 資金調達のためにアピールする機会を利用しているとのことだ。そういった機会を積極的に若者が利用しているということを聞くとどうしても自分の熱意が劣って見えてしまう。野望があるにしても目の前の目標がまだはっきりとしないのが自分の現状である。そう思って読み進めていくと本の終盤に次のような言葉があった. Keep looking, don’t settle(探し続けるんだ, (見つかるまで)落ち着いちゃダメだ)。この言葉を見たとき, やはり, 今のうちは経験が少ないがために何から手をつければいいのか分からないだけなのだと思った。しかし, だからこそこの言葉が示すようにとにかく時間の許す限り, 次から次へと手を伸ばして経験を積み重ね, その中でまず自分がすべきことを見つけ出せばいいのではないだろうか。そう解釈すると今回のインターンは自分にとって最善手となる決断だったように思う。まだ, どんな自分がどんな職業に向いていて, 卒業後どういった第一歩を踏み出すべきなのか, それについてははっきりしていない。しかし, 自分が大学在学中にできることはいくつか明確になった。それはビジネスに関わる経済学やマーケティングなどの知識を身に着けることだ。またこれらは, 熱意あるシリコンバレーの若者と競争する上でも必須となるもので, 上記のように起業するにしても, 就職するにしても切っても切り離せない関係にある。本の中で, 就職活動をしている若者が登場した。彼はあるインターネット広告会社に就職するつもりでいたがその会社が資金調達に失敗し, 倒産してしまったようだ。この部分を読んでいるとき, 本に書かれているようにもちろん運もつきものであるとは思ったが, 運という言葉を口に出す前にビジネスに関する知識がある程度必要なのだと感じた。このビジネスの知識はエンジニアとして製品を開発する上でも聞いてくるものだと思う。そのため将来を決める前にとにかくこういった知識を身に着けようと思った。

  1. 働き方について

面白くなかったら次の会社へすぐに転職といった考え方が根付いる点で個人的に素晴らしいと思った。なぜなら, 終始雇用のような環境で同じ業務をこなしつづけることに自分としては意味がないとどうしても感じてしまうからだ。やはり, 様々なところで実際に働くことで色々な経験を積み重ねたいと私は思う。また, そうして積み重ねた経歴が自分の個性となり, 自分の価値を作り出すのだと思った。日本は今, 時代の流れと共にこういった働き方を受け入れるようになってきている。そうするとやはりこのようにして完成する個性で競争することを余儀なくされるだろう。将来, 自分の経験不足・個性に対して後悔しないためにも今できること, 経験できることは何でも挑戦する必要があると改めて感じた。
6.全体的な感想
経験というのは今回のインターンでも分かったように自分に足りないものを少しずつ, しかし, はっきりと気づかせてくれるものだと思う。この本を通して, そういった経験を得る機会をとにかく自分から積極的に求め, 行動しなければならないのだと強く思い知らされた。残りの学生生活で何をどのようにしたらと考える前に経験してみる, そういった形で色々なものに手を出して, しつこく取り組んでいこうと思う。そうした中で自分に足りないものと向き合い, さらなる経験でそれを補い, 自分の個性, そして価値を見出していきたい。
イノベーションマトリックス(インターン)
龍谷大学 理工学部 機械システム工学科 3回生
澤田 悟

参考文献
[1]梅田 望夫, シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土, ちくま文庫, (2006)

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