AMR(自律走行ロボット)が活躍する使用場面例 7選
SLAM式ナビゲーションが進化を遂げているAMRには、従来のAGVには解決できなかった問題を解決することができます。
そのため、社会に実装する方法としてより多くの場面で期待されています。この記事では、AMRの使用事例を7つ紹介していきます。
1, 物流センター
倉庫や配送センター内は、一般的な社会実装例です。AMRは、パレットやその他の大きな荷物の積み下ろし、運搬、積み重ね、取り出しに使用されています。
倉庫内の自律走行ロボットは、作業をAGVより柔軟に行うことができますが、バルク単位ではなく、個々の荷物やアイテムを扱う場合に、その優位性はより顕著になります。
最近ではアマゾンの倉庫内での応用例が注目を浴びています。
顧客からの注文に答えるために特定の商品をピッキングすることは、倉庫業務の中で最もコストがかかる作業です。その複雑さとミスの可能性に加え、非常に時間のかかる作業です。
必要な商品を探すのに時間がかかるだけでなく、人間のオーダーピッカーは通常、ピッキングの場所と梱包場所の間を歩く(または乗り物で移動する)だけで、1日の半分以上が費やされていると言われています。
ピッキング作業をよりスムーズに、より速く、より正確に行えるようになれば、オペレーションコストを大きく削減することができます。
また、翌日配達や早い納期を求める顧客の声が多くなっていることも、スピードと効率の向上に向けた重要な原動力となっています。
2, 掃除や消毒の場面
コロナウィルスのパンデミックにより、清潔・衛生の必要性が今まで以上に強く感じられるようになりました。
最近多くの人が、施設が衛生的で清潔であることを望んでいます。また消毒剤を使用するだけでなく、建物の外観を清潔にし、良い印象を与えることもビジネスの重要な要素になってきました。
AMRは、自動洗浄・消毒装置を適材適所に配置することで、非常に費用対効果を高く保つことができます。
建物の表面や家具は複雑な形状をしており、日々路面の状況も変化するため、AMRの自律走行は非常に重要な機能になります。さらに、AMRの技術は、対象エリアの隅々まで掃除をすることを可能にします。
自動床洗浄機は、目に見える汚れを除去し、洗剤や消毒剤を塗布して効果的に除菌することができます。また、上部を殺菌するための、噴霧装置を備えているものもあります。
3, セキュリティー
セキュリティ業界は成長市場であり、人件費のかかる分野です。ASR(自律型警備ロボット)は、人員削減が予想されていた既存の警備員と協力することで、特に警備と警備の間を埋めることができ、より効果的なサービスを提供します。
カメラ機器を設置することで、コントロールセンターに常時映像やデータを送り、常駐する監視員が監視・判断することができます。
必要に応じて、ASRを自律制御モードから遠隔制御モードに切り替えることで、監視員が不審物をより細かくチェックすることも可能です。収集された映像やその他のデータはすべて記録され、将来的に調査や分析に役立てることもできます。
AMRの自律走行機能により、障害物や環境の変化に対応したパトロールを行うことができます。また、人工知能(AI)により、さまざまな事象に適切に対応することができます。
4, 病院・ヘルスケア
2,で述べた病院・ヘルスケア領域が、消毒と相性がいいのは自明でしょう。
病院は、食事、リネン、薬剤、滅菌用品、清掃機器、廃棄物などを病院内で移動させる際にもAMRを使用することができる。
人が台車を押す場合と比較するとAMRの重要な利点は、エリア間の人の移動が少なくなり、人を介したウイルスやバクテリアの拡散の可能性を減らすことができるようになります。
さらに、AMRは材料や機器のトレーサビリティに関してもメリットがあります。どこに何があるのか、ソフトウェアで一括管理ができることは、人が行う場合よりも優れた点と言えます。
5, 観光ロボット
ホテル、会議場、レストランなどのホスピタリティの現場では、コロナに関連する規制で特に大きな打撃を受けています。
ホテルロボットの利点はいくつかありますが、人件費の削減や収益性の回復だけでなく、ソーシャルディスタンスをとった接客を可能にします。
例えば、ホテルのフロントでの使用例や、客室や共用スペースにいるゲストに食事や飲み物を届けることも考えられます。
ゲストは、パスコードをテキストメッセージで受け取り、ロボットを開いて注文を受け取ります。同じ原理で、ウェイターサービスや軽食を提供することができます。
6, スーパーマーケット
競争が激化する中、食品スーパーは常に業務の効率化を求め続けています。
同時に、ソーシャルディスタンスの必要性は、この業界に関しても例外ではありません。
この2つの要因が、ロボットによるアシストの必要性への関心を高めています。
最近スーパーマーケット用AMRが発売されました。初期モデルは1つか2つのタスクに特化している傾向がありますが、近い将来、汎用性の高いAMRソリューションが広がるでしょう。
こぼれたものを検知して、お客様に注意を促したり、場合によっては実際に拭き取ったりすることもこれからの応用例として考えることができるでしょう。
さらに進歩すると、棚をスキャンして、品切れ、場所違い、値段違いなどの問題を報告するロボットも現れることでしょう。
7, デリバリーロボット(ラストワンマイル)
1, で述べたように、eコマースの急速な普及とそれに伴うお客様の短納期への期待から、サプライチェーン全体でスピードと効率化を必要とされています。
特に注目すべきは、輸送コストの半分以上を占めるラストワンマイル配送です。その要因として、配送の複雑さや交通渋滞が考えられます。
しかし、根本的な問題として、荷物を一つ一つ配送すると非常にコストがかかるということがあります。
AMRは、ラストワンマイルの自律配送をより速く、より経済的にするためのさまざまな解決策を提供することができます。
例えば、自律走行する配送車について。公道で安全に走行するという課題もさることながら、目的の住所に到着した時に新たな問題に直面します。受取人は、ボックスが玄関まで届けられることを期待していますが、自律走行車では玄関の目の前まで届けることは難しいです。
特に、受取人が1階に住んでいない場合はなおさら玄関まで届けることが難しくなります。選択肢としては、受取人に電話をして降りてきてもらうことが考えられます。
マンションのような高層の建物では、将来的には建物内専用のロボットがエレベーターを利用し各階に配送するようになるかもしれません。短期的には、ドローンとAMRが協業し小包の配送の最終段階を完了させることも考えられるでしょう。
歩道や静かな道路がある都市部や大学キャンパス内では、歩道ポッドと呼ばれる車輪型や脚型の配送用AMRを配備することができるところもあるようです。このようなロボットは小型で低速であることが多いため、安全面でも問題ありません。
AMRが生活に浸透する未来
以上、AMRが活躍する使用例を7例見てきました。倉庫という特別な環境に留まらず、施設のセキュリティーやスーパーマーケットでもAMRの活躍は広がっています。
進化するSLAMナビゲーションにより、より安全でフレキシブルなロボットの走行が実現しているからでしょう。
私たちの生活にAMRが浸透し、気付けばそこら中で見かけるようになる未来もそう遠くはないかもしれません。