アシストスーツと自律走行する物流ロボット投資のROI解析
効果的な導入を計画しよう

この記事では、アシストスーツと自律走行する物流ロボットの導入におけるROI(投資利益率)の計算方法や導入戦略について解説します。これらの技術は、物流業界や製造業で作業効率や生産性を向上させるために利用されています。
本記事では、それぞれの技術の効果やROI計算方法について説明した後、導入前の注意点についても触れます。これらの知識を活用して、最適な導入計画を立てることができるようになりましょう。
アシストスーツと物流ロボットの効果

アシストスーツは、作業者の負担を軽減し、労働生産性を向上させることができます。これは、アシストスーツが作業者の筋力を補助し、重たい荷物の持ち運びや長時間の立ち仕事による疲労を軽減するからです。
また、労働災害のリスクも低減できるため、安全性の向上にも貢献します。さらに、アシストスーツの導入によって、筋力の強くない方や高齢者も安全に作業ができるようになり、労働力の活用範囲が広がります。
一方、物流ロボットは、倉庫内の効率化や人手不足の解消に役立ちます。商品のピッキングや搬送を自動化することで、人間の作業負担を減らすだけでなく、作業速度や精度も向上させます。
また、在庫管理も最適化することができるため、全体のコスト削減につながります。さらに、物流ロボットは24時間稼働も可能であり、労働力不足の問題を解消する効果もあります。
ROIの計算方法

ROIとは、投資効果を評価する指標で、投資対象にかかるコストとそれによる利益の比率を示します。アシストスーツや物流ロボットのROIを計算する際には、導入費用や維持費用を投資コストとして考慮し、人件費削減や効率化、ミスの減少によるコスト削減を節約コストとして計算します。また、生産性向上や品質向上による収益も考慮に入れます。具体的なROI計算の例を以下に示します。
ROI = (節約コスト + 収益向上 – 投資コスト) / 投資コスト
ROI計算の際には、以下の要素を詳細に検討する必要があります。
投資コスト:
・導入費用: アシストスーツや自律倉庫ロボットの購入費用、設置費用、初期研修費用など
・維持費用: 機器のメンテナンス費用、消耗品費用、ソフトウェア更新費用など
節約コスト:
・人件費削減: 労働時間の短縮や労働者の減少による給与費用の削減
・効率化によるコスト削減: 作業スピードの向上や在庫管理の最適化によるコスト削減
収益向上要因:
・生産性向上: 作業効率の向上による生産量の増加
・品質向上: 製品やサービスの品質向上による顧客満足度の向上やクレームの減少
ROIを活用した導入戦略
ROIを用いて、アシストスーツと自律倉庫ロボットの導入計画を立てる際には、導入のタイミングや効果を考慮して計画を立てましょう。また、両者の組み合わせ効果や他の技術との比較も検討することが重要です。例えば、従来型の倉庫管理システムや他の自動化技術と比較して、どのようなメリット・デメリットがあるのかを評価しましょう。さらに、実際に導入された事例を参考にして、そのROI分析を理解することも役立ちます。
実際に弊社取扱のアシストスーツ、また自律走行ロボットを例にROIをチェックし投資効果を考えてみましょう。
アシストスーツのROI計算例
○導入年
想定コスト→
初期費用:1,000,000万円
メンテナンス費用:42,000円/年
想定ベネフィット→
生産性アップ:323,000円/年
質の低い生産物の減少:40,000円/年
欠勤の減少:56,000円/年
社員の入れ替わりの減少(採用費用など):66,000円/年
ベネフィットの合計→
323,000 + 40,000 + 56,000 + 66,000 = 485,000円/年
現場で一台のアシストスーツに対して、12時間使用されるとすると1.5倍の効果が得られると想定できます。
485,000円/年 × 1.5 = 727,500円/年
次に、2年スパンでのROIを計算します。
○2年目
2年スパン想定コスト→
投資額 = 初期費用 + 2年分のメンテナンス費用
投資額 = 1,000,000 + (42,000 × 2) = 1,000,000 + 84,000 = 1,084,000円
2年間のベネフィットの合計 = 727,500 × 2 = 1,455,000円
ROI = (1,455,000 – 1,084,000) / 1,455,000 = 371,000 / 1,126,000 = 0.33(または、33%)
2年スパンでのROIは0.33(33%)となります。これらの数値から、アシストスーツの導入は2年スパンでは投資効果がある程度あると言えます。
5年スパンでのROIを計算します。
○5年目
5年スパン想定コスト→
投資額 = 初期費用 + 5年分のメンテナンス費用
投資額 = 1,000,000 + (42,000 × 5) = 1,000,000 + 210,000 = 1,210,000円
5年間のベネフィットの合計 = 727,500 × 5 = 3,637,500円
ROI = (3,637,500 – 1,210,000) / 1,210,000 = 2,427,000 / 1,210,000 = 2.005 (または、200.5%)
5年スパンでのROIは2.005(200.5%)となります。これらの数値から、アシストスーツの導入は5年スパンでは投資効果がさらに向上し、投資元本を回収できると言えます。
物流ロボットのROI計算例(アメリカロボット企業の数字を参考にしているため$表示)
まず1年目にかかる費用は下記の通りです。
1年目費用項目
設備投資:$ 1,200,000(1年目のみ)
ソフトウェア費用:$ 134,400
Total: $1,334,400
まず、年間の節約額を計算しましょう。削除した人員による節約額は次のように計算できます。
節約額(人員) = 人員削減数 * 平均給与/人
節約額(人員) = 31.05人 * $40,000/人 = $1,242,000
そして、それ以外の節約額(トレーニング時間短縮、WMS ピッカーライセンス費用、派遣社員の採用、在庫縮小、ミスピッキングによる返品の費用など)は次の通りです。
節約額(その他) = $121,196
年間の想定節約額は以下のようになります。
年間節約額 = 節約額(人員) + 節約額(その他)
年間節約額 = $1,242,000 + $121,196 = $1,363,196
次に、3年間と5年間の節約額を計算します。
3年間の節約額 = 年間節約額 * 3年
3年間の節約額 = $1,363,196 * 3 = $4,089,588
5年間の節約額 = 年間節約額 * 5年
5年間の節約額 = $1,363,196 * 5 = $6,815,980
最後に、ROIを計算します。
ROI = (節約額 – 投資額) / 投資額
3年スパンのROI
ROI = ($4,089,588 – $1,334,400) / $1,334,400
ROI = $2,755,188 / $1,334,400
ROI = 2.064 ≈ 206.4%
5年スパンのROI
ROI = ($6,815,980 – $1,334,400) / $1,334,400
ROI = $5,481,580 / $1,334,400
ROI = 4.110 ≈ 411.0%
この計算によれば、3年スパンでのROIは約206.4%、5年スパンでのROIは約411.0%となります。
導入前の注意点

導入前には、投資リスクやROI予測の誤差に注意が必要です。また、法規制や業界標準に対応した製品を選定することも重要です。さらに、導入後の研修や教育が不可欠であり、サポート体制の確立も考慮しましょう。また、導入にあたっては、以下のような検討事項があります。
投資リスク:
技術の進化や市場状況の変化によって、導入後のROIが変動する可能性があります。リスクを低減するためには、定期的なROI評価や技術のアップデートが必要です。
ROI予測の誤差:
ROI計算には多くの要素が関係しており、予測の誤差が生じることがあります。実際の効果やコストを確認しながら、ROI計算を適宜見直しましょう。
法規制や業界標準:
導入する技術が法規制や業界標準に準拠しているか確認し、適切な製品やサービスを選定しましょう。
まとめ
ROIを用いたアシストスーツと自律倉庫ロボットの導入計画は、効果的な導入戦略を立てるために重要です。投資リスクやROI予測の誤差に注意しつつ、技術の進化や業界動向に目を光らせて、最適な導入を実現しましょう。また、導入前の法規制や業界標準の確認、研修や教育、サポート体制の整備も重要な要素です。これらの知識を活用して、アシストスーツと自律倉庫ロボットの効果を最大限に引き出し、業務の効率化や生産性向上を実現できるようになりましょう。