RoboBiz2019リポート 5、-物流ロボットの普及と未来-

アメリカ最大のロボットカンファレンスRoboBiz2019から、興味深かった講演内容や会場の様子等を「RoboBiz2019リポート」としてお届けするシリーズです。

アッシュ・シャーマ(Ash Sharma)氏

今回は、ロンドンのInteract Analysisのアッシュ・シャーマ(Ash Sharma)リサーチディレクターによる物流ロボットの動向調査報告から、物流ロボットの現在の普及とこれからについてレポートします。
氏は5カ月間にわたって60社以上の企業を調査およびインタビューしたと言います。その骨子を、以下の箇条書きでまとめましたのでご覧ください。

・ 現在、倉庫作業員の人手不足、より速くより安い配達を求める消費者の要求、人件費の上昇、eコマースの拡大、オムニチャネルの急増、そして購買・返品習慣の変化によって物流ロボットの必要性が急激に高まっている。
・ 5兆ドル産業のロジスティクス業界がロボティクスに揺れている。モバイルロボットの100近いベンダーの多くが物流に焦点を当てている。2023年にモバイルロボットは60億ドル市場になると予測される。倉庫オートメーション市場は23年には300億ドルを超える。そのうち7億ドルがAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)/AMR(Autonomous Mobile Robot:協働型自律移動ロボット)である。
・ モバイルロボットをイノベーター理論の四つのフェーズに当てはめると、現状はまだ幼年期にあり、現在のユーザーは「イノベーター」に区分される。これから「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」と導入が広がっていくと予想される。
・ 倉庫ロボティクスで先行したのは2012 年にAmazonに買収されたキバ・システム(KivaSystems)である。
・ オーダーフルフィルメントのロボットは「PTG( Person-to-goods)」「GTP( Goods-toperson」(Kivaタイプ)「アーム付き走行ロボット」「ソーター」の4種類に分けられる。
・ 現在までにAmazonは20万台のロボットを導入している。
・ 物流ロボットの活用におけるAmazonのリーダーシップは今後も続く。しかし、2022年にはその他大勢の利用台数がAmazonを超えるという予測がある。Amazonに労働人材を取られているために、その他大勢のロボット化が加速しているとも言える。
・ 米ウォルマートや米ターゲットの物流設備投資は、ロボットを使ったシステムの購入にシフトしつつある。人手不足により、オーダーピッキングだけでなく、フォーク、牽引、パレット搬送などにもロボットが活用される。
・ 現在は物流作業の2%ぐらいしか自動化されていない。

AmazonのKivaロボット
AmazonのKivaロボット

彼のレポートを通し、現在はAmazonがいち早くロボットを導入し物流ロボットの業界をリードしていますが、Amazonに人手を取られていることもあり、その他大勢の物流倉庫やeコマースでロボット化が加速するであろうこと、インターネットを通じて拡大した物流業界には、膨大なロボット需要があり導入は必須であること、が見て取れます。

また氏の所属するInteract Analysisの新しいレポートでは、今後5年間で580,000台以上のロボットが展開され、”Perfect Stream”が訪れると述べられています。レポートではその開発スピードにも言及しており、Amazonを除き、2018年末にAMRが展開されているサイトは300に満たないにもかかわらず、2020年末までに100,000を超えるAMRが展開されるとしています。 AMRが長年のパイロット段階を経て、倉庫やロジスティクスセンターに広く展開されるにつれて、「大きな変革の準備が整っている」と氏は言います。 「業界は現在、急速な労働力不足と電子商取引ブームと、より高速で安価な配達と高い収益率に対する顧客の需要の高まりにより、テクノロジーが主流になり、急速に成長しています。」「この1年で開発のペースは大幅に加速しました。実際、多くのエンドカスタマーとサードパーティのロジスティクスプロバイダーがパイロットステージを完全にパスして、小規模に展開していくことを選択しています。Amazonなどに追い付こうとするならば、6か月のパイロットは長すぎるからです。」と氏は述べています。

また、ロボットの波及は倉庫に止まりません。Industry 4.0のイニシアチブと消費者の変化を背景に、自動化とロボットが製造業の環境に浸透し続けていると氏は述べています。これにより、設計サイクルの高速化と短縮化が実現し、製造の柔軟性が強く求められます。 氏によると、多くのメーカーが、マテリアルハンドリングやその他のロジスティクス内ユースケースでAMRやその他のモバイルロボットを展開し、サプライチェーンや倉庫スペースを超えて市場を動かしているのを見てきた、と実感を持って伝えていました。

倉庫や製造業の現場は、モバイルロボットによって今後5年の間に目まぐるしく変化していくことが実感されるレポートでした。実際、ロボット商社である弊社でも物流倉庫や製造業現場に、自動化を目的としてロボットが求められていることを、日々実感しています。5年後に、倉庫や製造現場がどのような変貌を遂げているのか、弊社も貢献していきたいと思うとともに、楽しみでもあると感じた講演でした。